男子のプロテニス界を仕切るのは、ATP(男子プロテニス協会)です。プロの男子テニス選手は、ATPが作った仕組みに組み込まれて、世界中のテニス大会を回ります。各テニス大会は、レベル別のカテゴリーで格付けされ、組織されています。カテゴリーと成績ごとに選手へ付与されるATPポイントの数が決められていて、選手は、獲得したポイント数によって世界ランキングが決まります。
男子テニス大会の格付けとポイントについて調べました。
男子テニス大会の格付け図
男子のプロテニス大会の格付けを模式図にしてみました。各層の単語はカテゴリーの名前です。
上にあるほど、格が高いカテゴリーです。
上にあるほど、出場選手に付与されるATPポイント数、賞金額、大会規模が大きくなります。
ATPポイントとは、ATP(男子プロテニス協会)が統括するポイントシステムです。「ATPランキング」と呼ばれる男子プロ選手ランキングや各選手の大会への出場権やシードを公平に決定するためのポイントシステムです。男子テニスの「世界ランキング」とは、このATPランキングのことです。
男子プロテニスの最高格のカテゴリーは、「グランドスラム」です。これは女子の場合も同じです。グランドスラム優勝のATPポイントは2000です。
次が「ATPワールドツアー」で、ATP(男子プロテニス協会)が統括する大会群です。ATPワールドツアーは、「ATPファイナルズ」「ATPカップ」「ATPマスターズ1000」「ATP500」「ATP250」の5つのカテゴリーに分けられています。1000、500、250の数字は、そのカテゴリーの大会で優勝者に付与されるポイント数です。
錦織圭選手などトップ選手が活躍する大会は、グランドスラムとATPワールドツアーのカテゴリーに属する大会です。「ATPツアーレベル」といった場合、ATP250以上のレベルに属する大会を指しています。
その下の「ATPチャレンジャーツアー」は、ATPとついてはいるのですが、ATPツアーには含まれません。2018年には、錦織選手が復帰後の初戦にこのカテゴリーの大会に出場しましたね。普段よりも下のレベルの大会に出場し、回復具合を確かめていたといえます。
その下が、ITF(国際テニス連盟)が統括する「ITFサーキット」で、「フューチャーズ」とも呼ばれています。ここまでが、プロレベルとされるテニス大会です。
ATPのルールブックには、このほかに「デビスカップ」というカテゴリーもあるのですが、デビスカップでのポイント付与は現在ありませんでしたので、今回は省きました。変更があれば更新したいと思います。
尚、世界ランキングを左右するATPポイントは、図のすべてのカテゴリーで付与されますが、ATPが管轄するのは、ATPとついているカテゴリーのみで、グランドスラム、ITFサーキット、そしてデビスカップについては、ITFが管轄します。
男子プロテニスの大会カテゴリーとポイント
グランドスラム
グランドスラムは、四大大会、またはテニスのメジャーのことで次の4大会です。
- 全豪オープン
- 全仏オープン
- ウィンブルドン
- 全米オープン
グランドスラムの統轄は、ATPではなくITF(国際テニス連盟)が担当しています。
優勝時に付与されるATPポイント数は2000。シングルスのポイント一覧は次の通り。
優勝 | 準優勝 | 準決勝 | 準々決勝 | ラウンド16 | ラウンド32 | ラウンド64 | ラウンド128 |
2000 | 1200 | 720 | 360 | 180 | 90 | 45 | 10 |
ATPワールドツアー
ATPワールドツアーは、ATPが統括する大会群で、グランドスラムに次ぐ格付けの大会です。トップ選手はグランドスラムとこのATPワールドツアーレベルの大会にのみ出場しています。
ATPワールドツアーには次の4つのカテゴリーがあります。
ATPファイナルズ
正式名は「ATPワールドツアーファイナルズ」。略して「ATPファイナルズ」は、シングルス、ダブルス各トップ8組だけが参加できる年間最終戦です。年に1大会しかない特別編と言えるでしょう。
全勝優勝した場合のATPポイント数は、1500。
ATPマスターズ1000
正式名は「ATPワールドツアーズマスターズ1000」。略して「ATPマスターズ1000」または「マスターズ」は、通常大会としてはグランドスラムに次ぐ格付けのカテゴリーです。マスターズに属する大会は9大会。
- BNPパリバオープン(インディアンウェルズ・マスターズ)
- マイアミオープン
- モンテカルロ・マスターズ
- マドリード・オープン
- イタリア国際
- ロジャーズカップ(カナディアンオープン)
- ウェスタン&サザンオープン(シンシナティ・マスターズ)
- 上海マスターズ
- パリマスターズ
優勝のATPポイント数は、1000。シングルスのポイント一覧は次の通り。
優勝 | 準優勝 | 準決勝 | 準々決勝 | ラウンド16 | ラウンド32 | ラウンド64 | ラウンド128 |
1000 | 600 | 360 | 180 | 90 | 45 | 10(25) | (10) |
()内は、ドロー数が96で128ラインのドロー表になるBNPパリバオープンとマイアミオープンでのポイント数です。それ以外の7大会ではドロー数が56または48で、64ラインのドロー表になります。
ATPカップ
2020年から新しくATPカップが始まります。ATPランキング(男子の世界ランキング)の上位24名の選手の国(欠場を除く)が参加する、国別対抗戦です。
錦織選手を擁する日本は、2020年大会に出場が決定しています。
国別対抗戦ですが、出場選手には、勝利数と相手選手のランキングによって決まるポイントが付与されます。
シングルスのすべての試合に勝利し優勝した場合の最高ポイント数は、750。
ATP500
正式名は「ATPワールドツアー500」。略して「ATP500」は、優勝ポイントが500のカテゴリーです。全部で13大会あります。日本で開催される楽天オープン(ジャパンオープン)もこのカテゴリーの大会です。
- ロッテルダムオープン
- リオオープン
- ドバイ・テニスチャンピオンシップ
- メキシコ・オープン
- バルセロナ・オープン
- クイーンズクラブ選手権
- ゲリーウェバー・オープン(ハレ・オープン)
- ドイツ・オープン
- シティ・オープン(ワシントン・オープン)
- チャイナ・オープン
- 楽天オープン(ジャパン・オープン)
- エルステバンク・オープン(ウィーン・オープン)
- スイスインドア
シングルスのポイント一覧は次の通り。
優勝 | 準優勝 | 準決勝 | 準々決勝 | ラウンド16 | ラウンド32 | ラウンド64 |
500 | 300 | 180 | 90 | 45 | 0(20) | (0) |
()内は、ライン数64のドロー表だった場合。
ATP250
正式名は「ATPワールドツアー250」。略して「ATP250」は、優勝ポイントが250のカテゴリーです。2020年は、ブリスベン国際とシドニー国際がATPカップに置きかわったのを受け、38大会予定されています。数が多いのでここでは大会一覧を省略します。
シングルスのポイント一覧は次の通り。
優勝 | 準優勝 | 準決勝 | 準々決勝 | ラウンド16 | ラウンド32 | ラウンド64 | |
ATP 250 | 250 | 150 | 90 | 45 | 20 | 0(10) | (0) |
()内は、ライン数64のドロー表だった場合。
ATPチャレンジャーツアー
ATPチャレンジャーツアーは、ATPツアーの下に位置づけられるカテゴリーです。ATPツアーには含まれません。
2019年のATPチャレンジャーツアーの大会数は158ありました。
優勝 | 準優勝 | 準決勝 | 準々決勝 | ラウンド16 | ラウンド32 | 予選勝者 | |
チャレンジャーツアー125 | 125 | 75 | 45 | 25 | 10 | 5 | 1 |
チャレンジャーツアー110 | 110 | 65 | 40 | 20 | 9 | 5 | 1 |
チャレンジャーツアー100 | 100 | 60 | 35 | 18 | 8 | 5 | 1 |
チャレンジャーツアー90 | 90 | 55 | 33 | 17 | 8 | 5 | 1 |
チャレンジャーツアー80 | 80 | 48 | 29 | 15 | 7 | 4 | 1 |
チャレンジャーツアー50 | 50 | 30 | 15 | 7 | 4 | 1 |
ITFサーキット(フューチャーズ)
ITFサーキットは、チャレンジャーズの下のレベルの大会群で、ITFが統括する大会群です。フューチャーズとも呼ばれています。2019年には539大会ありました。
ITFサーキットは、2019年1月から、新しいシステムとなりましたが、ポイントシステムが2つになり、非常に多くの選手たちからの大反対を受け、運営側は再変更を余儀なくされました。
2020年は次のようにATPポイントが付与されます。
優勝 | 準優勝 | 準決勝 | 準々決勝 | ラウンド16 | ラウンド32 | |
25,000 +H | 20 | 12 | 6 | 3 | 1 | ー |
25,000 | 20 | 12 | 6 | 3 | ー | ー |
25,000 +H | 10 | 6 | 4 | 2 | 1 | ー |
25,000 | 10 | 6 | 4 | 2 | ー | ー |
25,000、15,000は賞金額による大会カテゴリー。Hは、宿泊や食事の無料サービスが付くこと。
また、ITFサーキットの予選に出場した場合には、ATPポイントではなく、ITFのランキングポイントが付与されます。
まとめ
男子プロテニスの大会は、グランドスラムを頂点にカテゴリー分けされ、格付けされている。格が大会ほど大会規模、賞金額、ポイント数も大きい。ポイント数の最高はグランドスラム優勝で2000ポイント、最格下の優勝ポイントは10ポイントである。
ポイント数など引用元は、atpworldtour.comとitftennis.com。
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