2019年の全豪オープンテニスには新しい最終セットのルールが登場します。これまでシングルスの最終セットは、2ゲーム差がつくまで試合を続けるアドバンテージ・セットでしたが、2019年からは、10ポイント・タイブレークが導入されます。
最終セットとは?
最終セットは、3セット先取のルールなら第5セット、2セット先取のルールなら第3セットのことです。
それぞれゲームカウントが2-2、1-1となったときのみに行われるセットで、その試合の勝負を決定するセットになることから、ディサイディング・セットとも呼ばれます。
最終セットの10ポイント・タイブレークとは
最終セットの10ポイントタイブレークは、最終セットで、ゲームカウントが6-6になっときに行われます。
ルールは、2ポイント以上差をつけて、先に10ポイント取ったほうが勝ち、です。
これまでと何が違うの?
全豪オープンでは昨年まで、シングルスの最終セットは、「アドバンテージ・セット」で行われていました。
アドバンテージ・セットとは、2ゲーム以上の差をつけて6セット先取したほうがそのセットの勝者、というルールで、その対義語は「タイブレーク・セット」です。
そして、最終セット以外は、これまでも「タイブレーク・セット」で行われてきましたし、今年も行われます。このタイブレークがいわば「ふつうのタイブレーク」です。
ふつうのタイブレークと最終セットの10ポイント・タイブレークは何が違うの?
ふつうのタイブレークもゲームカウントが6-6となったときに行われるという点は同じです。違うのはポイント数。
ふつうのタイブレークは、2ポイント以上差をつけて、先に7ポイント取ったほうが勝ち、です。
最終セットでは、選手ポイント数が7から10になります。
ダブルスの10ポイント・マッチタイブレークとは何が違うの?
ダブルスとの違いは、タイブレークが始まるタイミングです。
ダブルスの方は、第2セットが終わった時点で「セットカウント」が1-1だった場合に、最終セットの代わりとして直ちにタイブレークが始まります。名前も「マッチタイブレーク」と「マッチ」が付いています。
一方、シングルスの10ポイント・タイブレークは、最終セットの「ゲームカウント」が6-6となった時に始めるタイブレークです。
2ポイント以上の差をつけて10ポイント先取という内容は同じです。
スーパータイブレークとは違うの?
調べたところ、スーパータイブレークについては、「10ポイント・マッチタイブレーク」のことをそう呼んでいました。
今回導入される最終セットのタイブレークについても、スーパータイブレークと呼んでいる記事もあり、10ポイント先取のタイブレークという意味で使っているようです。
これまで、10ポイント先取のタイブレークはマッチタイブレークだけだったためにこのような状況になっていると思われます。全豪オープン2019が史上初めて、10ポイント・タイブレークを導入するのです。
全豪オープンの公式サイトでは現在、「10ポイントタイブレーク(10 point tiebreak)」や「長いタイブレーク形式ー10ポイント先取(the longer of the tiebreak formats – first to 10 points)」という言葉を使っていて、スーパータイブレークとは言っていません。
昨年のフォーマットの説明では、混合ダブルスのマッチタイブレークにスーパータイブレークという言葉を使っていました。
というわけで、どう呼ばれるかは今後分かりやすいとか言いやすいとかマスコミが使うという理由で決まっていくことでしょう。
なぜ最終セットのルールが変更されたの?
まず、最終セットにタイブレークを導入する目的は、試合時間の短縮のためです。
最終セットがアドバンテージ・セットの場合、たいへんに試合が長引いてしまうことがあります。これまでの最高記録は、ゲームカウント70-68、11時間5分、3日に及ぶ2010年のウィンブルドン1回戦、イズナーvsマユの試合です。
全豪オープンでは、2012年の決勝でジョコビッチvsナダル線が5時間53分という記録があります。
このような事態を避けるための解決策がタイブレークです。
では、どうしてこれまでどおりの7ポイントのタイブレークにせず、10ポイントのタイブレークにしたのでしょう。
それは、最終セットの長い死闘こそが、ファンにとっては、テニスの醍醐味でもあるからです。ただ、時間短縮だけを目指せば、この面白みがなくなってしまいます。その落としどころとして、ふつうよりも少し長い、10ポイントのタイブレークに決定したというわけです。公式サイトによれば、過去と現在の選手やコメンテーター、エージェント、テレビアナリストなどに聞き取りをしたそうです。また、少し長くなることでサーブばかりで勝敗が付くことも少なくなるということです。
全豪オープン2019のフォーマット一覧
男子シングルス本戦 | 3セット先取タイブレークセット 第4セットまでは、ゲームカウント6-6の時点で7ポイントタイブレーク 最終セットは、ゲームカウント6-6の時点で10ポイントタイブレーク |
女子シングルス本戦 男女シングルス予選 男女ダブルス ジュニアシングルス 車いすシングルス |
2セット先取タイブレークセット 第2セットまでは、ゲームカウント6-6の時点で7ポイントタイブレーク 最終セットは、ゲームカウント6-6の時点で10ポイントタイブレーク |
混合ダブルス ジュニアダブルス 車いすダブルス |
2セット先取タイブレークセット 第2セットまでは、ゲームカウント6-6の時点で7ポイントタイブレーク 第3セットの代わりに10ポイント・マッチタイブレーク |
2018年は、シングルス本戦の最終セットは、男女ともアドバンテージ・セットでした。混合ダブルス、ジュニアのダブルス、車いすダブルスで、第3セットの代わりにマッチ・タイブレークが行われましたが、その他はすべて、ふつうの7ポイント・タイブレークセットが行われました。
2019年には、シングルスのみならず、これまで最終セットもふつうのタイブレークセットだったダブルスや予選などでも10ポイントタイブレークが導入されます。
なお、レジェンドによる招待試合はFAST4という別のフォーマットで行われますがそれはまた別の機会に。
まとめ
全豪オープン2019では、最終セットで、これまでのアドバンテージセットに変わり、10ポイント・タイブレークを導入する。最終セットのゲームカウントが6-6になった時に行われる、2ポイント以上差をつけて10ポイント先取したほうが勝ちというルールで、シングルスのほか、最終セットがマッチタイブレークになる3種目以外のすべてに導入される。最終セット以外はこれまで通り、7ポイントのタイブレークセットである。
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