全仏オープンのクレーコートは何でできている?なぜクレーと呼ぶのか【テニス】

テニスのグランドスラムの一角、ヨーロッパ大陸のパリで開催される、全仏オープンでは、クレーコートが採用されています。クレーという呼び名ですが、泥のような粘土ではなくて、独特な赤茶色の土のようなもの。表面のこの色は、レンガを砕いた粉でできています。

そしてクレーコートは、表面に粉が敷き詰めているだけのものというわけではなく、さまざまなものを何層にも重ねてできあがっています。

全仏オープンのクレーコートは何でできている?

テニスのクレーコートには、全仏オープンで使用される種類のほかにも、灰色がかった緑色や黄色、自然のコートなどがありますが、ここでは、全仏オープンのクレーコートに着目します。

全仏オープンのコートの成分

全仏オープン公式サイトのこちらのページによると、全仏オープンのクレーコートは、このような層からできあがっています。

イメージ

出典:rolandgarros.com

成分は上から順に、

  1. 赤レンガの粉 1~2㎜
  2. 白い石灰岩の粉砕物 6~7㎜
  3. クリンカー(石炭残滓) 7~8㎝
  4. 砕いた砂利 30㎝以上
  5. 排水口

1- Red brick dust: 1 – 2 mm
2- Crushed white limestone: 6 – 7 cm
3- Clinker (coal residue): 7 – 8 cm
4- Crushed gravel: at least 30 cm
5- Drain

写真のシリンダーでは、実際の厚さが再現されていませんが、実際には80センチほどになるそうです。

テニスコートってとても厚いのですね。層になっているため、水が表面にとどまらず、下にはけます。

また、表面の赤茶色は、焼いてできるレンガの粉です。1ミリの10分の1より小さい粉に粉砕されたものです。フランス語では、terre battueテルバチューというそうです。翻訳にかけてみたら、「打ちのめされた土」とでました。英語なら、beaten earthでした。

全仏オープンのクレーコートは、一般には「アンツーカー(オントゥーキャー)」と呼ばれ、日本語では、「どんな場合でも」といったところでしょうか。この名は、水はけがよく、雨の日でも使用できることから来ていて、「全天候型」のコートという意味です。フランス語では、「晴れ雨兼用の傘」のこともこう呼ぶそうです。

しかしながら実際、フランス人は、このコートを「terra Bateauxテラバトー」と、まったく違う名で呼ぶそうです。翻訳にかけてみたところ、うまく出ませんでしたが、「船の地面」といったところでしょうか。水に浮いてるイメージかなと思いました。

アンツーカーは、テニスに限らず、野球などほかのスポーツのグラウンドにも使われています。

赤レンガの粉はどこで作られている?

ニューヨークタイムズによると、赤レンガの粉は、パリの北にある、オワーズ県(Oise)というところにある、Supersolという会社の工場で作られているそうです。

50年以上、ここの会社のものなのだとか。毎年全仏オープンで80トンものレンガが使用されるそうです。またその下の層の石灰岩も、オワーズ県のもの。その下の石は、フランス南部産なのだそうです。

全仏オープンのクレーコートが出来上がる様子が、CNNのチャンネル紹介されていました。

なぜクレーと呼ぶのか

クレーコートは泥や粘土ではなくレンガや石でできているのに、なぜクレーというのか。

そのことについて、全仏オープンのサイトでは特に触れていないのですが、レンガはそもそも粘土(クレー)から作られます。だから、クレーが使われているといえば使われています。

また、全仏オープンの公式サイトでは、クレーコートの始まりのエピソードが次のように紹介されています。

”もともと粘土を使うのは、実用的な意味合いが強かった。1880年、カンヌのレンショウ兄弟は、暑さでしおれた芝生のコートを覆うために、粉状のテラコッタを使用したようです。

Originally the use of clay was merely a practical consideration. The Renshaw Brothers, back in 1880 in Cannes, apparently used powdered terra cotta to cover grass courts that were wilting in the heat.

レンショウ兄弟は、イギリスの双子のテニスプレーヤーでウィンブルドンでなんども優勝した選手です。

medium.comによると、夏の炎天下で芝生が焼けるのを防ぐために、南フランスのバロリスという町で、検査に合格しなかった不良品の素焼きの鉢(クレーポット)を砕いた粉で、芝コートを覆ったということです。

つまり、クレーコートの表面に使われている粉のもともとの原料がクレー(粘土)だから、クレーコートと呼ばれるのではないでしょうか。

[ローランギャロス]ラコステ(Lacoste) 2021 バーティカル ショッピングバッグ RG 全仏オープン 縦型トート ユーティリティバッグ付 NF3437RG-G67 レッド(21y6m)[次回使えるクーポンプレゼント]

まとめ

全仏オープンのクレーコートは、フランス産の赤レンガの粉と、石灰岩や石の層でできている。クレーと呼ばれるのは赤レンガの原料がクレーだからだと思われる。