テニス大会をオープンというのはなぜ?

テニス大会はよく、ジャパン・オープンや全米オープンのように「○○オープン」という名前がついています。なぜ「○○トーナメント」とか「○○大会」じゃなくて、オープンなの?オープンとはいったい何?テニス大会を○○オープンと呼ぶ謎について調べてみました。

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オープンはスポーツ用語

オンラインの英和辞典・英辞郎によると、スポーツの大会で「オープン」というときのオープンの意味は、

  • プロやアマを問わず参加できる試合

です。

テニスの場合もこれに同じ。

テニスの大会をオープンというのはなぜ?

テニス大会に「オープン」がつくのは、歴史的に、プロ選手とアマチュアの選手を分けていたからです。

それが、1968年4月、それまでアマチュアの選手しか出場が許されていなかった大会にプロが出場できるようになりました。それを、プロにも門戸を開放したという意味で、「オープン化」と呼びます。

オープン化が行われて、四大大会のうち全豪選手権と全米選手権は、全豪オープン、全米オープンと名称を変更しました。
それを機に、プロ・アマ問わず出場できる大会名は、○○オープンと改称したり名付けられるようになりました。現在でも新しい大会が○○オープンと名付けられることがあるのは、その名残です。

まとめると、テニス大会を○○オープンという理由は、

  • 大会への参加資格がアマチュアだけじゃなくプロにも開放されたときに、オープンが大会名に使われるようになったから

なぜそれまではアマチュアの選手しか出られなかったの?

それは、19世紀以降、テニスを問わず、スポーツ界全体に

  • 「アマチュア規定」という決まりがあったから

です。

アマチュア規定とは、「スポーツによる金銭的な報酬を受けるべきではない」という思想です。当時の社会背景と競技者層がこの思想を支える基盤でした。

百科事典マイペディアによると、最初にアマチュアという言葉が使われたのは、1839年のイギリスのレガッタ(ボートレース大会)への参加資格でのことだそうです。1866年の英国陸上競技選手権大会でアマチュア規定がさらに明確化、近代オリンピック憲章にも1974年まで記されていました。

テニスや近代のほとんどのスポーツは、イギリスやアメリカの富裕層が中心となって打ち立てたられたものです。そのため、アマチュア規定とは、富裕層がスポーツから労働者層を排除するための規定でもありました。時間的にも経済的にも余裕がない労働者層では、スポーツが、見世物として、あるいは賭け事の対象として、報酬をもたらしてくれるものであったからです。

アマチュアリズムを維持するために、各スポーツの統轄団体は、大会への参加資格を「アマチュアのみ」としていました。

テニス界も例にもれず、当時のテニスの統括団体・国際ローンテニス連盟(現・国際テニス連盟)が管理する大会には、アマチュアのみに参加資格を与えていました。

なぜテニスはオープン化したの?

それは、

  • テニスの発展のため

といえるでしょう。

「アマチュアリズム」思想がスポーツ界を支配していた一方、テニスの人気を見込んだプロモーター(興行師)は、テニスについても、強くて人気のある選手たちによる興行を企画・運営しました。最初の興行は1926年のエクシビション・マッチだったそうです。そのプロモーターたちと契約して報酬を得ていた選手が「プロ」の選手たちです。

テニス興行は好評で、多くの強い選手たちがプロに転向、プロだけが参加できる選手権大会も開かれるようになり、1960年代にはそれらの選手権大会が人気を得るようになりました。

特に、第2次世界大戦後の世界では、テニスに限らず、スポーツの水準が急速に高まり、一流の選手になるためには特別のトレーニングが必要という認識が広がります。

テニスのアマチュアの選手たちの中にも、大会出場の費用として多額の報酬を得ている「偽アマチュア」と呼ばれる人たちが現れるようになりました。言い換えれば、プロとアマの境界があいまいになってきたのです。

こうした状況を受け、テニスの将来に危機感を持った国際ローンテニス連盟は、「プロ無くしてテニスの発展はない」と考えるようになります。

そして、1968年、ついに方針を転換。四大大会は、プロの大会参加に同意、オープン化に至ったのでした。

オープン化当初は、国際ローンテニス連盟とプロモーターたちの利害関係が拮抗し、ボイコットなどもありましたが、結果として、すべてのテニス選手にプロとしての道が開かれ、現在のテニス界の繁栄へと繋がったのです。

まとめ

テニスの○○オープンとは、アマチュアしか参加できなかったテニス大会の門戸をプロにも開放した1968年に、大会名称にそのことを表すものとして「オープン」という言葉が使われたから。現在の「オープン」の意味はプロ・アマ問わず参加資格があるという意味。
19世紀以降に打ち立てられた近代スポーツには、スポーツで報酬を得るべきではないというアマチュアリズムの思想が支持されていて、オープン化以前のテニスの場合も、四大大会などテニス連盟が管理する大会において、プロ選手に参加資格はなかった。

感想

現在となっては、四大大会に出場する選手たちはプロであることが当たり前で、アマチュア選手しかいなかったということが不思議に思うくらいです。今、プロアマ問わずと言うなら、どちらかといえば、プロの大会だけどレベルの低いと想定されるアマチュアにも門戸開放するよ、みたいな感じに思いますが、数十年前は逆に、スポーツ本来の姿であるアマチュア界にプロも出させてあげるよ、みたいな感じだったとは。「プロ」という言葉は本来、「専門家」や「熟練」というよりも、「生計を立てている」という意味だったのですね。

そのスポーツをすることで収入が得られるプロの選手たちは、その技術をますます高めていくことができ、結果としてそのスポーツのレベルが上がり、より人気が出て競技人口が増え、さらに発展していくという好循環。テニス連盟は将来を見る目があったということかな。