テニスの点数の数え方の由来!あのマジックナンバーが理由だった?

テニスの点数は、ラブ(0)、フィフティーン(15)、サーティ(30)、フォーティ(40)と数えますね。そして、6ゲーム取ると1セット獲得です。なぜ?なぜこんな半端に思える数字で完了するのでしょう。テニスの点数の謎を解け。

テニスの点数の数え方の由来

テニスのこの不思議な点数の数え方の由来は、これといった決定打がわかっていません。テニスの歴史は、研究者により、いくつかの憶測がありますが、どれも証拠がなく、ゆえに断言できるものではないそうです。

テニスの起源は、紀元前にまでさかのぼることができるそうですが、現代テニスの始まりは、19世紀後半のイギリス。このときにはすでにこの数え方でした。

現代テニスの祖先となる競技は、16~18世紀のヨーロッパの絶対王政時代に流行した「宮廷テニス」または「リアルテニス」と呼ばれているものです。その原型は、中世11~12世紀のフランスで行われていたボールを打ち合うゲームで、修道院の回廊で修道士が楽しんでいたと言われています。

この頃の点数の数え方は、現代テニスのものと同じです。つまり、現代テニスはこの頃の数え方を引き継いでいます。

よって、修道院の日常が15分単位で区切られていたから、とか当時のコートの大きさとルールから1ポイント入ると15フィート進むという意味、とかいろいろな説があるのですが、アメリカテニス協会のテニス事典に次のような説が載せられていて、なんだか腑に落ちると思いました。

「フランスの初期のゲームの記録では、1セットは4ゲームだった。60度に6をかけると円になるので、4ゲームずつの6セットで1試合と考えられた。ゆえに、1ポイントは全体の15度分になるから、点数に置き換えて15ポイント、ひとりが円1周分の360度を達成した時にゲームは終了となる」

“In early records of the game in France, sets were played to four games. Since sixty degrees make a full circle when multiplied by six, it is thought that matches were six sets of four games each. Therefore, each point was worth fifteen degrees, or points, contributing to the whole. The game concluded when one player completed a full circle of 360 degrees.”

図でイメージするとこういう感じ。

circle

現在のルールで言うと、4ポイントで1ゲーム、6ゲームで1セット、ですね。

ポイントは、0、15、30、40と数えて、最後はゲームと言い、60とは言いませんが、あえてポイントを言えば、60で1ゲームということになります。

なら、40じゃなくて45でしょう、という疑問はそのとおりで、45じゃないと話が合わないのですが、45では長いので、略して40と言うようになったというのが通説です。

実際15世紀フランスのオルレアン公の詩に45と数えている表記があるということです。ほかに16世紀のラテン語の書物にもあるそうです。

よく言われる説に、時計の文字盤の分の数え方が起源、というのがありますが、17世紀の終わりまで時計に分は含まれてなかったそうですから、これは成り立ちません。ただし、60でひと区切り、というところが同じ意味です。

昔は、60という数字が、現代の100のような区切りのいいマジックナンバーだったそうです。

60は約数が多くて便利であるし、それほど大きな数でもありません。昔は10進数よりも使われていた12進数とも相性がいいです。

そう考えると、テニスの数え方も当時としてはとても整合的なものだったのですね。

でもまさか、15や30に意味があるのじゃなくて、試合中に発声されることのない60をもとに、割っていった結果だったとは驚きでした。

0がラブなのはどうして?

これにもまたいろいろな説がるものの、正確な起源はわかっていません。

もっともよく耳にする理由は、フランス語のたまごを意味するl’oeuf(ルーフ)が英語になってloveに変わったというもの。カタカナではルーフと書いているけれども、実際l’oeufとloveはとてもよく似た音です。たまごが0と形が似ていることから、0をそう呼んでいたということです。

アメリカでは、スポーツの試合で0点であったとき、「大きいガチョウのたまごがスコアボードにあった」、という表現をするそうですから、これはありそうです。

ほかに、オランダ語で名誉を意味するlofという言葉からきたもの、とする説や、英語のloveそのものだ、なぜなら0ポイントの選手がプレーする理由は競技への愛だけだから、という説もあります。

デュースはどうしてフォーティオールじゃないの?

テニスでは、ポイントが、40-40となったときに、「デュース」と言います.

30-30なら、サーティオール、15-15のときは15オール、なのに、なぜフォーティオールじゃないのでしょう。

それは、40-40の時は、あと1ポイントでゲーム終了にならないから。

デュースという言葉は、2を表すフランス語のドゥdeux(古語ではdeus) からきていて、「あと2ポイントで勝利」という意味なのだとか。

テニスでは、2ポイント以上の差がつかないと、ゲーム終了になりません。40-30、40-15、40-0の時は、あと1ポイントで40の選手が勝利しますが、40-40になったときは特別なので、宣言するんですね。

ちなみにフランス語起源の言葉ということですが、現在のフランス語では、デュースのことを、イガリテégalitéと言います。英語にしたらequality。

タイブレークが7ポイント先取なのはどうして?

こうなると、ゲームカウントが6-6になった時に導入されることもあるタイブレークが7ポイント選手ということが変に感じます。ここまで60の倍数や割り切れる数を利用しているのに、ここにいたって7って何?

と思ったら、ここにも整合性がありました。

タイブレークでは、2ポイント以上の差をつけて7ポイント先取したほうが勝ちです。これは、言い換えると、「ベストオブ12ポイント」なのだそうです。

ここでも12という60の約数が使われていたのですね。でもこれはこじつけです。

タイブレークは、1965年にヴァンアレン氏によって考案されたもので、60とは関係ないといっていいでしょう。ダブルスには、10ポイント先取のタイブレークが導入されていますし、ヴァンアレン氏も、もうひとつほかに、ベストオブ9ポイントのタイブレークも考案しています。

ベストオブ12ポイントのタイブレークが行われているのは、この方式が選手を始めとした関係者に広く受け入れられたからです。タイブレーク導入の目的は、試合時間の短縮ですが、これまでのテニスのルールやイメージを大きく損なうものであったら受け入れられません。ベストオブ12ポイントは、今のところちょうど両方を満たす落としどころとなっているわけです。

まとめ

テニスの点数の数え方は、中世のマジックナンバー60を基本に考えるとわかりやすい数え方となっている。とはいえ、正確な起源はわかっていない。

テニスはへんてこな数え方をするけれど、そこがテニスの雰囲気を作っている魅力のひとつでもあります。人は起源が分からないものをミステリアスに感じたりなにかありがたいものに思ってしまうそうですから、起源ははっきりわからないということがまた、実はけっこう新しいスポーツであるテニスの人気を支えている重要なポイントなのかもしれません。