ITFエントリーポイントとは?ITFトランジションツアーについて

※追記 ITFのこの計画は撤回されました。

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2019年、ITF(国際テニス連盟)は、新しいツアーを導入します。その名は「ITFトランジションツアー」。このツアーでは、「ITFエントリーポイント」という新しいポイントシステムが導入され、「ITFエントリーポイントのランキング」が決まることになります。

ITFエントリーポイントとは

ITFエントリーポイントとは、

  • 2019年からITF(世界テニス連盟)が導入する新しいポイントシステム。

現在、18歳以下のジュニアのポイントと、ATPやWTAのプロのポイントがありますが、ITFエントリーポイントは、いわばその中間に位置づけられるポイント制です。これまで、プロ選手の入り口であった「ITFプロサーキット」の一部を分離し、「ITFトランジションツアー」を新設、その中で適用されます。

ITFエントリーポイントの獲得数で「ITFエントリーポイントのランキング(スタンディング)」が決まります。

ITFトランジションツアーとは

ITFトランジションツアーは、

  • 2019年から新設となる大会カテゴリー
  • 2018年までITFプロサーキットの一番下のレベルにあった賞金総額1万5000ドルの大会群を分離したカテゴリー
  • 出場選手には、「ITFエントリーポイント」が付与され、ATPやWTAのポイントは付与されない
  • ITFプロサーキットの下のレベルで「プロ移行中」「プロ未満」といった位置づけのカテゴリー

女子では、賞金総額2万500ドル以上の大会は、ITFプロサーキットに属し、WTAポイントのみが付与されることに決まりました。それを模式図にしたものが以下。赤い矢印を付けた黄色の部分が「ITFトランジションツアー」の位置づけで、黄色は、「ITFエントリーポイント」が付与されることを意味しています。

WTA

出典:itftennis.com

男子では少し複雑です。男子の2019年は、2万5000ドルのITFプロサーキットの大会においても、ITFエントリーポイントが付与されます。ATPポイントは、準決勝以上に勝ち残った選手にのみ与えられます。またチャレンジャーツアーの予選でもITFとATPの両方のポイントが与えられることになります。
2020年からは、2万5000ドルの大会もITFトランジションサーキットに組み込まれ、ITFエントリーポイントのみが付与されることになる予定です。

ATP

出典:itftennis.com

男子では、2万5000ドルのプロサーキットやチャレンジツアーの一部が黄色になっていて、「ITFエントリーポイント」も付与されることがわかります。

結果、男女とも多くの選手が、ITFプロサーキットとITFトランジションツアー両方の大会に出場し、ATPやWTAのポイントとITFエントリーポイントの両方を獲得することになります。よって、「ATPまたはWTAランキング」と「ITFエントリーポイントのランキング」の両方を持つことになります。

ITFトランジションツアーの役割とは

ITFトランジションツアーは、プロレベルの試合に出場する選手の多くが、テニス選手として生計を立てることができていない、という現状を打開するために考案されました。

ITFトランジションツアーでは、大会開催の基準をゆるめてコストを減らし、各国でローカルでの大会開催を促します。それにより選手もまた少ないコストで大会に参加でき、結果収入も増えることになることを見込んでいます。

新しいポイント制の導入は、選手としてのキャリアをより効率的に進めることを目指しています。ITFエントリーポイントランキングの上位の選手には、プロサーキットへの出場権が確実に与えられます。

とここまではいい感じですが、実際にはプロ選手の数を減らすということが大きな目的です。

ITFの調査によれば、プロレベルの大会に出場する選手は年間約14000人、うち半数は獲得賞金0、プロ選手として生計をたてられている選手は、約600名に過ぎないことが判明しました。また、選手の高齢化が進んでいること、プロになってからトップ100入りするまでの期間がどんどん伸びてきていることも分かり、ジュニアからプロへの移行が困難になってきている現実が明らかになりました。

プロサーキットの手前にトランジションツアーを設定し、プロとは別のポイントシステムを導入することで、強い選手以外はプロ大会に出場することができなくなります。代わりに、強い選手はより効率的に次の段階へと進んでいくことが期待できます。

ITFの試算では、ほぼ全員が生計を立てることが可能なプロ選手の数は男女各約750名、計約1500名という結果であったようです。

2018/12/1現在ATPやWTAのランキングに載る選手数は計約3000名ですが、2019年には試算通り、半数の約1500名に減る見込みです。

まとめ

ITFエントリーポイントとは、2019年から新しく導入されるITFトランジションツアーで適用される新しいポイント制である。

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